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広報さばえ 平成30年7月号 通常版

ふるさと散歩道 第284回

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福井県鯖江市

鯖江の近代史と歩兵 第 36 連隊(32)  幻の滑走路

昭和20年6月23日、20万人を超えるおびただしい数の犠牲者を出し、美しい景色を破壊し尽して沖縄戦が終結すると、いよいよ「一億総玉砕」の覚悟を決める空気は色濃くなりました。
迫る本土決戦に備え、全国各地では特攻部隊が出撃するための簡易飛行場の建設が進みました。こうした飛行場は、航空戦力の温存のために、存在自体が隠され、工事も秘密裏に行われました。
青田が育つ頃、軍は豊地区の上野田町・上氏家町から越前市余田町(はぐりちょう)・本保町(ほんぽちょう)にかけての水田に飛行場を建設することを決めます。周辺住民は勤労奉仕隊や愛国婦人会として動員され、炎暑の中、水田に赤土を運び込み、ローラーで土をならす作業を続けました。
真新しい、まだ土埃の舞う滑走路に初めて戦闘機が降り立ったのは、8月15日午前11時頃。その後、間もなく玉音放送(ぎょくおんほうそう)で日本の敗戦が告げられました。
秋に恵みをもたらす水田を埋め立て、多くの汗と涙を吸って成った赤土の滑走路でしたが、完成と同時にその役目を終えたのです。(文化課  藤田 彩)

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